夏の甲子園、連日の猛暑(立秋を過ぎたので残暑というべきだろうが、残暑というにはあまりにも暑すぎる)の中展開される熱戦。
しかも観客は超満員。選手としても甲子園出場の経験がある鹿児島実業の宮下正一監督によれば、夏の大会はスタンドのお客さんが白い服を着ているため、フライが上がると保護色のような感じになって、ボールを見失いやすいのだそうだ。
それにお客さんの歓声だってすごいし、アルプスからは吹奏楽の演奏が(ブラスバンドというのは厳密には間違い。このことについては後日機会があればふれよう)容赦なく降ってくる。選手同士の意思疎通だって、よほど声を張り上げなければ難しいことは、素人の我々にも、容易に想像がつく。
こんな独特の雰囲気の中で、日頃の実力を発揮するのは並大抵のことではないが
さらに甲子園ならではの難しさがある。
それは試合進行の速さだ。
甲子園では1試合2時間での進行を求められるという。
そのためとにかく時間に追われるのだ。
たとえば、攻守交替。地方大会の感覚でゆっくりやっていると(地方大会も十分きびきびしていると私には見えるのだが…)審判から「遅いです!」と言われるそうだ。
これは鹿児島工業の中迫俊明監督に聞いた話だが、
甲子園に初めて出ることになったとき、「1試合2時間のつもりで」というアドバイスを、樟南の枦山智博監督から受けたという。
そこで鹿児島工業では、攻撃を終えた選手が守備につく時、どの選手のグラブを誰が手渡すか、担当を決めていたという。とにかくベンチで腰を下ろす余裕もないそうだ。
試合終了後のインタビューは時間配分が決まっている。
まずTV中継のインタビューが3分。NHKが監督にインタビューする隣で、朝日放送が選手へのヒーローインタビューをしている。
その後、新聞や雑誌の取材が13分。
そして我々TVのインタビューが7分。この7分で地方局はもとより、NHKやキー局のニュース用インタビュー、さらには「熱闘甲子園」のインタビューも収録しなければならない。だからこちらも、誰と誰に話を聞くかを決めておいて、その選手がどこにいるか前もって確認した上で、要領よく作業しなければならない。選手だけではなくメディアも流れ作業というわけだ。
すべてが「異空間」の甲子園。選手にとっても、メディアにとっても、その雰囲気に慣れるための事前準備は、いくら周到にしてもしすぎることはない。
(なんだか英作文みたいだな。Can’t …too~だっけ?)

